焼畑農業の仕組みとメリット・デメリット、地域と栽培作物

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焼畑農業とは、短期間の耕作と長期間の休耕を合わせた移動式の農業のことです。

この記事では、

  • 焼畑農業の仕組み
  • 焼畑農業のメリット・デメリット
  • 焼畑農業が行われる地域と栽培作物

について解説します。

焼畑農業のサイクル

森林を伐採し、草を刈り、乾季の終わりで乾燥したときに、火をつけて焼きます。その焼かれた草木は灰となり、農作物を育てるための肥料となります。

その畑でイモ類、豆類、雑穀などの農作物を育てていきます。

数年間、農作物を育てていると、地力が衰えてくるので、農業をするのをやめます。

そのまま続けていると、土地がやせてきて、農作物が育たなくなってきてしまうので、他の場所に移動します。

新たな土地に火を入れて焼き、灰を肥料として農作物を育てていく。そして、数年間、そこで農業をしたら、また別の場所に移る。

こういったサイクルがある、農地を転々としていく移動式の農業が焼畑農業です。

一度農業を行った土地は何年も放っておき、土地が自然に戻ったあとで、またそこへ行って農業を行うのです。

土地に余裕があって、農業をしないで、土地の休耕期間をとれるのであれば、持続可能な農業です。

しかし、耕作する期間が長くなったり、休耕する期間が短くなると、地力が回復せず、土地が荒廃してしまいます。持続可能な農業とはいえません。

地域の人口が増えるなどの理由で、他の土地が空いていないくて、休耕期間が短くてあまり休ませていない土地をつかうことになる。こうとなると、環境破壊につながってしまいます。

焼畑農業のメリット・デメリット

メリット

投入量が少なく手間をかけなくてよい

上記したように、焼畑農業のいちばんの特徴は粗放的であるということです。粗放的とは、土地に投入する資本や労力が少ないことです。

参考:農業の集約的・粗放的の違いと生産性

農業を行った土地は何年も放っておき、自然に戻ったあとで、またそこの土地へ行って農業を行うのですから、土力の回復を自然に任せているわけです。

機械、肥料などの投入量が少なくても、農業を行うことができます。必要なのは、広い土地と労働力、そして土地を休ませる時間です。

持続可能である

森林に火を入れて、灰を肥料として農業をする。土地が疲弊してしまう前に他の場所へ移る…。新しい土地でまた火を入れて、灰を肥料として農業をする。土地が疲弊してしまう前に他の場所に移る…。

農業を行った後の土地は、休耕期間をしっかりととれば自然に戻っていきます。

その土地にまた戻ってきて、火を入れて、灰を肥料にして農業をする。

こうすれば、地力が衰えることなく、農業を繰り返すことができます。まさに持続可能な農業です。

しかし、耕作する期間が長くなったり、休耕する期間が短くなると、地力が回復せず、土地が荒廃してしまいます。持続可能な農業とはいえません。

デメリット

生産性や収益性が低い

粗放的であるので、そのぶん生産性は落ちます。また、もともと焼畑農業では自給作物の栽培が主です。機械も肥料も投入して生産性を上げて、農作物を販売して収益を上げる、といったことは難しいです。

同じ土地をずっと繰り返し活用できない

焼畑農業では、何年か農業を行ったら他の土地に移らなくてはいけません。同じ土地でずっと農業をしたいと思っても、無理な話なのです。

人口が増加しすぎると土地の生産力が低下し荒廃する

正しい焼畑農業ができなかった場合のデメリットというか問題点です。

ある地域に人口が集中するなどして、農作物の必要量が増加する。そして、焼畑面積を広げたり、耕作期間を延ばしたり、休耕期間を短くするなどした場合、地力が回復せずに土地が荒廃する恐れがあります。

生産力が低下し → 焼畑面積・耕作期間の延長 → 生産力の低下…といった悪循環となり、使えなくなった土地を放棄することになります。

土地に余裕があり、休耕期間が守られれば、いつまでも農業を持続できます。

焼畑農業が行われている地域と栽培作物

焼畑農業は、熱帯地方で行われます。東南アジア、ラテンアメリカ、アフリカなどです。

東南アジア

東南アジアでは、焼畑農業で、イモ、バナナなどの栽培が行われてきました。現在は、陸稲やとうもろこしなども栽培。

ラテンアメリカ

ラテンアメリカでは、アマゾン川流域のセルバで、キャッサバ、とうもろこし、大豆などが焼畑農業で栽培されます。先住民によって行われています。

※南アメリカ・アマゾン川流域の熱帯雨林を、セルバと呼びます。

アフリカ

アフリカでは、熱帯雨林地域ではキャッサバ、タロイモ、サバナ地域ではソルガムやヒエなどが栽培されています。

関連記事:東南アジアの農業(アジア式稲作農業、プランテーション農業)

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