遊牧、移牧、放牧の違いは何?牧畜と酪農の意味についても説明

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遊牧、移牧、放牧という言葉は、似たようなものを指しているのでわかりにくいですね。この記事では、これらの違いについて書きました。また、牧畜と酪農の意味についても最後のほうに説明します。

遊牧

遊牧とは、水と草を求めて家畜と人間がともに移動して営む牧畜です。家を移動して移り住むので、組み立てしやすく運びやすいテントで生活をします。

このテントは、

  • モンゴルでは → ゲル
  • 中国では → パオ
  • 中央アジアでは → ユルト

と呼ばれます。

中央アジア、西アジア、北アフリカなどの砂漠やステップの地域で、羊、ヤギ、ラクダの遊牧をします。

チベット高原ではヤク、アンデス山脈ではリャマを遊牧します。

カザフスタン南部の草原です。羊と馬が草を食んでいます。気持ちよさそうですね。

 

次は中国のカザフ自治区の写真です。

羊を追うのにバイクを乗り回しています。羊を自宅のほうに向かわせるときにこうして追って、向かわせるのです。

私は、カザフスタンから中国に入って旅をた時の写真です。カザフスタンでは、人は馬に乗って羊を追っていましたが、中国のカザフ自治区では馬がバイクに変わり、バイクで羊を追っていました。

信用村…?という名前の村の近くでした。

移牧

スイスなどでアルプスの山腹斜面を活用して、移牧が営まれます。

冬場は山は雪に覆われるので山のふもとで飼育し、夏は暑さを避けるため山に登り、高地で放牧をします。これが移牧です。

縦方向に移動して放牧するのですね。

スイスの雄大な景観と、のんびりと草をはむ牛たち。

放牧

放牧とは、建物の中で飼育するのではなく、草地に放し飼いをすることです。建物の中で飼育するのか、建物の外で家畜を自由にさせるのか、の話です。

スペインの写真です。

こちらは、舎飼いといって建屋+庭で飼うところですが…

 

草っぱらに牛を放てば、放牧になるわけです。

 

夏のスペインは暑いですが、林の中の水辺は涼しそう…。牛にとっても過ごしやすいのでしょう。

 

こちらは西アフリカのガーナ、とある町です。

町中のそこかしこでヤギが歩いています。

一応、だれかが飼っているみたいです。これも放牧ということになるでしょうね。草地での放牧でなく、町中での放牧です。

次は西アフリカのマリの写真です。

私が食べ残したものをポイと捨てると、いそいそとヤギがやってきてパクっと食いつきました。西アフリカでは、食べ物であれば町の中でポイと捨ててしまっても、犬とかヤギがキレイに除去してくれるのです。

マリのド田舎の村です。宿はありません。ある民家にお願いして軒先にあったベンチで寝かせてもらうことにしました。夕暮れ時になると、

お兄さんが、「シー!」と小屋にヤギを追い込んでいました。村の中をウロウロしていたヤギたちは、お兄さんの家のヤギだったようです。

昼間は村の中外で放牧、夜は小屋に戻していました。

酪農

ところで、「酪農」は畜産業の業態のひとつで、乳、バター、チーズなどの乳製品を得るのを生産するものです。

「放牧」はその飼育スタイルであって、べつに「放牧」せずに、建屋の中で飼育する酪農家もいるわけです。日本では、建屋の中で飼育をする畜舎飼いが多いです。

牧畜

さらに書くと、牧畜とは家畜を飼育して活用する生業のことです。牛の乳や肉、羊毛など様々な家畜の資源全般を指しています。とても広い意味を指しています。

まとめ

「牧畜」とは家畜を飼育して活用する生業のことです。家畜を育てて資源を利用する全般のことを指しています。「牧畜」の中のひとつの業態として、乳製品を生産する「酪農」があります。

生活の仕方や飼育のやり方の話で、水と草を求めて家畜と人間が移動して牧畜を営むのであれば、「遊牧」です。山腹(スイスのアルプスなど)で、季節に合わせて山の上に行ったり、麓に下りたりするのが「移牧」です。

「放牧」は移動するしないの話ではなくて、建物の中で飼育するのか・草地に放し飼いをするのかをみて、草地に放し飼いするのであれば、「放牧」となります。

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3 件のコメント

    • お役に立ててうれしいです。ありがとうございます。どんな環境でどれがあるか。時間ができたときにまとめられたらと思います。

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