河川が海や湖に流れ込むところに、運ばれてきた土砂によって形成され低平地が三角州です。
ギリシャ文字のデルタΔの形と似ているので、デルタとも呼ばれます。
この記事では、三角州ができる仕組みと、三角州の3つの種類について解説していきます。
三角州ができる仕組み
三角州の形態は一つだけではありません。河川からの流れてくる土砂の量、沿岸の潮の流れに影響を受けてできるので、それらの影響度が変われば、三角州の形態も変わります。
海岸の波や流れに対する、河川が運んでくる土砂の堆積作用の大きさ、その力関係によって、三角州の形に違いが出てきます。
主に3種類の形態に分けることができます。それらの名前と、それぞれどういった場合にできるのかを表にまとめました。
形態名 | どういう場合にできるか |
---|---|
鳥趾状三角州 | 海岸の波や流れが弱く、それに対して河川の土砂の堆積作用が強い |
円弧状三角州 | 海岸の波や流れに対して、河川の土砂の堆積作用がそこそこある |
カスプ状三角州 | 海岸の波や流れが強くて、それに対して河川の土砂の堆積作用が弱い |
河川の力によって河口付近に堆積する土砂は、小さな粒です。
川が山の土砂を削って、運んでくるわけですが、川の上流から石の粒のような礫が堆積し、次に砂のようなものが堆積し、さいごに海の入口に運ばれてくるものは、小さな粒のものになります。
それでは、順番に解説していきます。
三角州の種類
鳥趾状三角州(ちょうしじょうさんかくす)
名前のとおり、鳥の足の指のような形をした三角州が、鳥趾状三角州です。
海岸の波や流れに対して、河川の土砂の堆積作用が強いと、川の流れにそって土地が形成され、鳥の足指のような形になっていくのです。
アメリカのミシシッピ川がその代表例です。
河川から土砂が流れてくる力が強いので、どんどん堆積して地面が伸びていくように見えますね。
アメリカ・ミシシッピ川
円弧状三角州(えんこじょうさんかくす)
扇形のような形の三角州が円弧状三角州です。
鳥趾状三角州ができる海岸とは違って、海岸の波や流れがあります。そのため、鳥趾状には三角州が形成されず、扇形のような形の三角州が形成されます。
円弧状三角州の例として、エジプトのナイル川があります。とても広大です。
海岸の波や流れがなければ、アメリカのミシシッピ川のように伸びていくのですが、海岸の波や流れによって広げられている様子がわかります。
エジプト・ナイル川
カスプ状三角州
河川の土砂の堆積作用よりも、海岸の波や流れが強いために、河口に近い部分にだけ形成された三角州を、カスプ状三角州といいます。尖状三角州ともいいます。
イタリア・デウェレ川
三角州は水田に利用される
大きな河川の三角州は、重要な稲作地帯となります。インドのガンジス川、ベトナムのメコン川などです。メコンデルタは、アジア式稲作農業を行う地域です。
三角州の土地で稲作が行われる理由は、水が得やすいからです。三角州では、小さな粒の土砂がたまり、水はけが悪いです。水はけが悪いということは、水がたまりやすいということです。
日本の三角州としては、広島市がある太田川三角州があります。三角州には大きな都市が形成されることがあります。
日本では三角州が少なく、あっても規模が小さいです。日本の海の多くが海岸から急に深くなって、沿岸流が強いため、堆積がなされずに、三角州が発達しにくくなっています。
河川によって運ばれた土砂が堆積してできた平野のことを、沖積平野といいます。大きく分けると、上流から扇状地、氾濫原、三角州があります。
三角州と、浸水海岸の三角江(エスチュアリー)の違いについて、こちらの記事で解説しています。
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