農業の特徴を考えるときに、
- 集約度が高いか低いか
- 生産性が高いか低いか
に着目することがあります。集約度と生産性によって農業を分類することができます。
集約度(集約的か粗放的か)
集約度とは、農業にどれだけのものを投入するかです。たとえば、そこで働く人をどれだけにするか、あるいは、機械や肥料をどれだけつかうかといったことです。
- より多くを投入をして集約度が高いことを「集約的」
- 投入が少なくて集約度が低いことを「粗放的」
といいます。
この「集約的」、「粗放的」の言葉の前に、投入するものの名前をつけて表現します。
- 労働力を多く投入する農業を、労働集約型の農業
- 機械などの資本を多く投入する農業を、資本集約型農業
と呼びます。
生産性とは
生産性とは、単位あたりの生産量のことです。
- 農業をする人を単位とするなら、農業をする1人あたりの労働量あたりの生産量
- 土地を単位とするなら、土地面積(たとえば1ヘクタール)あたりの生産量
となります。
当然ながら、ひとりあたりの生産量が多いほうが望ましいですし、土地面積あたりの生産量が多いほうが同じように望ましいですよね。
リンゴをつくっている人がいるとしましょう。「100人が8時間働いて、リンゴ1万個をつくった」場合よりも、「10人が8時間働いて、リンゴ1万個をつくった」ほうが、労働生産性が高いことになります。
より少ない人数でたくさんを生産しているのだから、こちらのほうが、生産性は優れていることになります。
または、同じ人数で、よりたくさんの生産をするのも生産性は高くなります。
土地に関しても同じです。米をつくっている2つの農家があるとします。
Aの農家では「1ヘクタールで5000kgの収穫量」、Bの農家では「1ヘクタールで6000kgの収穫量」であったならば、Bの農家のほうが土地生産性は高いです。1.2倍あります。
世界の農業を集約度と生産性で見ると
- ヨーロッパの農業は土地生産性も高いし、労働生産性も高いです。
- 新大陸の農業は、大規模農場での生産が盛んで、労働生産性が高いです。が土地生産性は低い。
- アジアでは、労働集約的な農業です。
私は世界のいろいろな国を旅したことがあるのですが、そのときには各国の様々な農業を目にしました。
モロッコのアトラス山脈の小さな村でみた小麦畑です。
山間の痩せた土地で、小麦畑は、穂が細くて、作物の密度も低く、見るからに土地当たりの収穫量は少なそうでした。
また、機械も見当たりませんでしたから、手作業で農作業ををしているのでしょう。
土地生産性は低く、資本集約度も低いといえますね。
次は、フランスで見た小麦畑です。
ヨーロッパの農業は土地生産性、労働生産性の両方が高いです。フランスの小麦生産は、輸出ともに、世界のなかでも上位となっています。
こちらは、中国の内陸部。蘭州と西安という都市の中間くらいの場所です。
中国の内陸部では、馬やロバに鍬(すき)を引かせていました。※2009年
機械などの資本はあまり投入されていないので、資本集約度は低いといえます。
まとめ
集約的か、生産性が高いかで、農業を特徴づけて分類することができます。
農業にどれだけ多くのものを投入すると「集約的」、投入量が少ないと「粗放的」とあらわします。
労働力を多く投入するのであれば「労働集約的な農業」、機械や肥料など資本を多く投入するのであれば「資本集約的な農業」ということができます。
粗放的農業というと、労働力や資本の投入が少ない農業となります。
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