発展途上国に存在する世界の巨大スラム

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発展途上国の大都市には、仕事を求める農村部の人々が流入してきます。彼らは、河川付近や傾斜地、ゴミ捨て場など住むには適さない場所に、トタンやベニヤなどの廃材を用いて小屋を建て居住するようになります。そうして、環境の悪い居住地であるスラムが形成されます。

世界のなかでも最大級のスラム街を紹介します。

ブラジルのリオデジャネイロ「ファベーラ」

ファベーラと呼ばれるブラジルのスラム街。強盗、窃盗、ドラッグ販売、ギャング同士の抗争など犯罪の温床になっています。

Image by NakNakNak/Pixabay

そのなかでもブラジルのリオデジャネイロのスラム街は巨大です。市街を望む傾斜地に隙間なく建てられた家々です。ブラジルでは、リオデジャネイロ以外の大都市も同様に、周辺にはファベーラが存在します。

ケニアのナイロビ「キベラ」

東アフリカ最大のスラム街。ケニアの鉄道開業などの労働量として集まった人々によって、スラム街が形成されていったとされています。

Image by Kreuzschnabel/Wikimedia Commons

Image by Ninara/Wikimedia Commons

HIVやマラリアの感染で、命を落とす人も少なくないです。また、薬物の取引、強盗、窃盗などの犯罪も多いです。

ケニア政府は、キベラスラムの環境整備を行う計画を立てています。

エジプトのカイロ「マンシェット・ナセル地区」

Image by Diego Delso/Wikimedia Commons

この地区には墓地が建設されていて、1970年代からカイロに集まってきた人々が住みつくようになりスラム街が形成されました。

フィリピンのマニラ「スモーキーマウンテン」

Image by Diego Delso/Wikimedia Commons

もともとは漁村であったのですが、ゴミ捨て場となって以降、マニラで発生したゴミが持ち込まれるようになりました。その量は膨大です。しばらくして、ゴミの山の中から使えるものを取り出し、わずかなお金を稼ぐ人々が現れました。

Image by Judgefloro/Wikimedia Commons

彼らはスモーキーマウンテンに住み着くようになり、プラスチック類や金属類で再利用できるもの、再使用できる木材や衣類などを探し、業者に渡して日銭を稼いでいます。悪臭が漂い、ゴミがいたるところにあり、治安も悪い環境です。

香港「九龍城砦」

Image by Ian Lambot/Wikimedia Commons

九龍城砦は、今は無きスラムです。1950年代から1990年代半ばにかけて、香港にやってきた移民がビルを建てスラム街をつくりました。

香港はイギリスに統治されていましたが、九龍城砦は除外され、どの国の法も及ばず管理のされていない地区となりました。無法地帯になったために、犯罪が多く、衛生環境の整備も進まず、薬物の取引も行われていました。

Image by Ian Roger Price/Wikimedia Commons

人々は、商店、飲食店、美容院、学校などの商売をしていました。

九龍城砦に限らず、スラムが巨大化すると、そのスラムの住民を相手にした商売が生まれ、スラムのなかで経済活動が行われるようになります。

無法地帯でルールのない街でしたが、建築物の14階以上をつくってはいけないというルールがありました。これは、スラム街の近くにあった飛行機が離着陸時の事故を防ぐためです。

1987年に香港政庁が九龍城砦の取り壊しを発表しました。1993年から1994年にかけて取り壊しが行われ、跡地には、広々とした九龍寨城公園が建設されました。

 

ひとたびスラム形成がはじまると、多数の人々が流入し、そのなかで廃品収集や小さな商売が行われ、経済が回りだし、まるでひとつの生態系のようになります。

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