海岸の沈降、または海水面の上昇によってできた海岸を、沈水海岸とよびます。これまで陸地であった場所が、相対的に下がって、海水が入り込んでできた海岸です。
- リアス式
- フィヨルド
- エスチュアリ(エスチュアリー)
これら3種類の沈水海岸について紹介していきます。
リアス式海岸
志摩市観光協会のサイトから転載
リアス式海岸とは、山地のV字谷が沈水して、谷あいに海水が入り込んでできた海岸です。複雑に入り組んだ海岸線になっています。V字谷とは、河川の浸食によってできた、名前のとおり断面がV字型をした谷のことです。
海岸付近には平地は少なく、背後に山地が控えています。入り江の奥は、天然の良好な港となります。
リアス式海岸という名前は、スペイン北西部のリアスバハス海岸という地名が由来のようです。
日本のリアス式海岸を紹介します。
三陸海岸(岩手県)
志摩半島(三重県、和歌山県)
豊後水道(大分県)(ぶんごすいどう)
京都若狭湾
若狭湾のリアス式海岸の左端には、舟屋(ふなや)があります。
舟屋とは、海と陸のちょうど境目に建てられた家々です。海に接していて、1階に船揚場があり、2階に生活の場がある家です。家から直接、海に出ることができるわけです。
舟屋がずらっと並んでいます。あたかも海の上に家が建っているかのように見えますね。大陸の北側に日本海があるのですが、伊根町の舟屋群は海が入り込んだところにあり、沿岸は南向きで波が静か。天然の良港です。
海とともに生きてるって感じですね。ちなみに、「船」ではなくて、「舟」の漢字が使われています。
大型のものを「船」、手で扱ぐような小さいものを「舟」と使い分けられます。この民家では、「舟」のほうが適切でしょう。
舟屋の裏、陸側はこんなふうになっています。
フィヨルド
フィヨルドとは、氷河に浸食されたU字谷が沈水してできた海岸です。
リアス式海岸と同じく、谷あいに海水が入ってできた地形ですが、こちらは氷河に浸食された谷の場合です。
氷河が流動して谷底を削ると、谷の断面がU字型となり、これをU字谷といいます。U字谷に海水が入り込み、フィヨルドが形成されます。ノルウェーの大西洋沿岸にはフィヨルドが発達しています。
ノルウェー南西部・ソグネ フィヨルド
エスチュアリ―(三角江)
今月の衛星画像のサイトから転載
エスチュアリーは、土砂の運搬が少ない河川の河口部で、河川沿いの低地に海水が入り、河口部が沈水した海岸です。ラッパ状の形をしています。
エスチュアリーとも、エスチュアリともいいます。日本語でいうと三角江です。
湾の奥は平野であるため、都市が発達して港として栄えることが多くあります。
イギリス・テムズ川
テムズ川のエスチュアリー。ラッパ形としてみて、口をつけて息を吹き込むところには大都市ロンドンが栄えています。
ドイツ・エルベ川
※地図上では「ラベ川」と記載されています。こちらも湾奥にドイツの大都市・ハンブルクがあります。
まとめ。リアス式海岸とフィヨルドの違い
リアス式海岸とフィヨルドは、どちらも谷あいに海水が入り込んでできた地形で、似ています。
違いを簡単に説明すると、リアス式海岸は、河川に浸食されてできたV字谷の場合で、フィヨルドとは、氷河に浸食されてできたU字谷の場合です。
エスチュアリ―は、谷あいではなくて、河口部で、河川沿いの低地に海水が入りこんだときにできる地形です。河川が運んでくる土砂の運搬が少ないところにエスチュアリーできます。
リアス式海岸、フィヨルド、エスチュアリ―。沈水海岸という地形は、湾港、都市の発展場所として利用されてきました。
わかりやすいですね