モノカルチャー経済のメリットデメリットについて解説します。
モノカルチャー経済とは
まずはモノカルチャー経済の説明から。
国の経済が、単一の生産物・輸出物に依存した経済体制のことを、モノカルチャー経済といいます。
このモノカルチャー経済は、植民地時代に始まったプランテーション農業が関係しています。
アフリカや東南アジア、ラテンアメリカなどの発展途上国では、ヨーロッパ諸国による植民地支配の過程で、単一作物を栽培する大規模農園の経営が始められました。先進国が発展途上国の農地や安い労働力をつかって経営する大規模な農業を、プランテーション農業といいます。
東南アジアでは天然ゴムやコーヒー豆、ラテンアメリカではコーヒー豆やさとうきび、南アジアでの茶、などの品目があります。
プランテーション農業の特徴は、単一の商品作物を大量に栽培することです。
後年、ヨーロッパ諸国から独立した各国では、プランテーション農業は、その後も国の主要な産業となり、生産・輸出をするようになりました。そうして、単一の作物の依存した農業が発展し、モノカルチャー経済ができあがりました。
そのほか農作物以外の、石炭や石油、あるいは金属などの鉱山資源でも同じことがいえます。これらを採掘・生産し、輸出するという産業に依存した経済も、モノカルチャー経済です。
モノカルチャー経済のメリット
効率がよい
資本を投下して、集中的に生産をします。それだけに、効率よく栽培することができ、販売ルート維持も安易です。
技術的に単一で済み、大規模化しやすい栽培方法です。
高収益を上げることが可能となる
モノカルチャー経済で栽培する作物は、販売を目的とした商品作物です。商品の取引価格が高いと高収益を上げることができます。
石油輸出国機構(OPEC)の国々は、石油の輸出によって資本が蓄積されます。石油資源への依存が強いですが、このオイルマネーによって、国の経済は潤います。
デメリット
経済的に安定しない
モノカルチャー経済は安定しない経済です。単一の農作物を生産・輸出することを考えてみましょう。
大きな自然災害があったときに、その作物が全滅してしまったらどうでしょうか。あるいは、国中のその作物に病害虫が蔓延してしまったら…。単一のものだけを生産するということには、こういったリスクがあります。
複数の農作物を栽培していたら、あるいは農業だけではなくて、工業やサービスなど他の産業も育っていれば、ひとつの作物がダメになってしまっても、他の農作物や他の産業の生産・販売でカバーすることができます。
複数の主要作物があれば、ひとつの作物が病害虫で収穫できなくなってしまっても、他の作物には影響がない病害虫であれば、ひとつの作物だけがダメになっただけで、その他の作物は収穫できます。
また、世界的にその作物の価値が下がるなど、市場の状況が変わったりすると、生産や物流が滞ってしまうことがありえます。そうなると、モノカルチャー経済に依存したその国の経済は、大きな影響を与えられてしまいます。
もしも石油の価値が世界的に下がったとしたら、OPECの国々は経済的な打撃を受けます。
環境問題が発生する
同じ作物の連作によって、土地が疲弊します。また、乾燥地域では、不適切な灌漑農業を行うことで、塩類集積が起こり、その農地が活用できなくなってしまうことがあります。
中央アジアでは、大規模灌漑による綿花の栽培によって、湖の消失、砂漠化、塩類集積などの問題が起こりました。
参考:シルダリア川とアムダリア川の水利用によるアラル海の縮小
参考:塩類集積の仕組みとは
伝統文化が失われる
単一の作物を栽培することで、従来の伝統的な農業や産業が失われてしまう可能性があります。
まとめ
以上、モノカルチャー経済のメリット・デメリットを見てきました。デメリットのほうが文量が多くなってしまいました。
上記したようにモノカルチャー経済は、プランテーション農業と深い関係があります。
単一の農作物、単一の資源に依存した各国は、依存するモノカルチャー経済から脱したいと考えています。工業や観光業を育てるなどです。
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