南アジアの農業は、モンスーンに影響を受けています。その場所でどんな農業が行われるのかというと、どの場所でも気候によって決まる側面もあります。
インドやスリランカなど南アジアの農業は、典型的なモンスーンの影響を受けます。モンスーンとは、季節風のことで、夏と冬で逆向きに吹く風です。
夏は、アラビア海から南西からの季節風が吹き、インド南西沿岸部に降水をもたらします。また、インドの東部やバングラディシュも同様に降水量が多くなります。
年間の降水量が1000mm以上となり、この場所は稲作地帯となります。
年間降水量が1000mmを越えるかどうかが、稲作か畑作の境目になります。
※これは中国の稲作と畑作の境目と同じです。中国東部のホワイ川とチンリン山脈を結ぶ、年間の降水量が1000mmのラインと同じ話です。こちらも1000mmラインを境にして、北が畑作、南が稲作中心の農業となっています。
冬は、内陸の北東からの季節風が吹き、乾燥します。
インド東部にいくと降水量が少なくなり、パキスタンはステップ気候BS、砂漠気候BWとなります。
こういった気候条件で地域を分けて、南アジアの農業地域は、
- 南西モンスーンの影響を受けて夏に降水量の多いインドの南西部、スリランカ
- インダス川流域、中流~上流のパンジャブ
- インド半島のデカン高原
- インド東北部のアッサム地方、バングラディシュなどのガンジス川、ブラマプトラ川流域
の4つに分けて考えることができます。
南西モンスーンの影響を受けて夏に降水量の多いインドの南西沿岸部、スリランカ
インドの南西沿岸部、スリランカでは、夏に多雨となり、稲作が盛んです。
スリランカでは、茶の栽培や植民地時代からのプランテーショ農業でゴムやココナッツなどが栽培されています。
インダス川流域、中流~上流のパンジャブ地方
東部と比べると降水量の少ないインドの西部、乾燥したパキスタンでは、小麦が栽培されます。
パキスタンのインダス川の中流から上流の地域を、パンジャブ地方といって、小麦栽培が盛んです。
インド半島のデカン高原
インド半島の中央部はデカン高原と呼ばれる場所です。デカン高原は、内陸部で乾燥していて、ステップ気候BSとなっています。
デカン高原の土壌は、レグール土となっていて、綿花に適した土壌。綿花の栽培が盛んです。
レグール土とは、玄武岩が風化してできた黒色の土壌です。インドのデカン高原にみられる肥沃な土地で、綿花の栽培がされています。綿花土とも呼ばれます。
インド北東部のダージリン・アッサム地方、バングラディシュなどのガンジス川、ブラマプトラ川流域
- インド北東部のダージリン地方、アッサム地方では茶の栽培
- ガンジス川の下流域(バングラディシュ)では、降水量が多く、稲作やジュートの栽培
- 中流域では、温帯冬季少雨気候となって、さとうきびの栽培
- 上流域は、ステップ気候となり、小麦の栽培
が行われています。
インド北東部で、ガンジス川、ブラマプトラ川の下流域にあるダージリン、またアッサム地方では、茶の栽培が盛んです。紅茶のダージリンティーとか、アッサムティーとか有名ですよね。
スリランカでも茶の栽培は盛んです。インドもスリランカもイギリスの植民地でした。紅茶を好むイギリスの植民地となった場所では、茶の栽培が盛んなことが多いです。
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