温帯は、人々が快適に暮らしやすい気候。農牧業が活発で、多くの人口を養うことができますから、工業、また都市も発達します。
ケッペンの気候区分で温帯Cは、次の条件が当てはまる場所です。
- 年間を通して一定以上の降水量があり、
- 最も暖かい月(最暖月)の平均気温が10℃以上であり、
- そのなかで、最も寒い月(最寒月)の平均気温が-3℃以上18℃未満の場所。
それが温帯Cとなります。
その温帯Cは、
- 地中海性気候Cs
- 温暖冬季少雨気候Cw
- 温暖湿潤気候Cfa
- 西岸海洋性気候Cfb
に分けられます。
それぞれの気候区分の特徴を解説していきます。
地中海性気候 Cs
モロッコ北部で撮影した丘陵と小麦畑
地中海性気候 Csは、主に南ヨーロッパと北アフリカの間にある地中海沿岸に分布していて、夏に乾燥し、冬に湿潤な気候です。
夏には中緯度高圧帯がかかって雨が降らず乾燥する。冬には、高緯度低圧帯がかかってきて雨が降るようになります。
気圧帯の存在が気候に大きく影響しています。
中緯度高圧帯は下降気流が吹いていて、雨雲が発生せず、雨が降りません。夏になるとこの中緯度高圧帯は、地中海の付近にかかるようになるので、降水量がなく、乾燥した気候となるのです。
北半球では、スペイン・イタリア・モロッコ・トルコなど地中海の沿岸国、中央アジアの一部、アメリカ西海岸のカリフォルニア。
南半球ではチリ中部、南アフリカ南端、オーストラリア南部などが地中海性気候です。
オリーブやコルクがし、かんきつ類、ブドウなど、乾燥に強い作物が育てられます。また、冬の降水を利用して小麦栽培が行われます。
温暖冬季少雨気候 Cw
中国のチンタオの街です。夏のゲリラ豪雨にあいました。
温暖冬季少雨気候 Cwは、夏は高温湿潤、冬は温暖で乾燥する気候です。温暖冬季少雨気候という名前の通り、冬季は温暖で少雨となるのです。
アジアでは中国のチンタオや香港、ベトナムなど。また、アフリカ南部、アンデス山脈東側が温暖冬季少雨気候となっています。
アジアでは、米や茶の栽培が盛んで、アフリカ南部、アンデス山脈東側では、とうもろこしや小麦、コーヒーが栽培されます。
温暖湿潤気候 Cfa
日本の南アルプスと田んぼ
温暖湿潤気候 Cfaは、夏は高温で雨が多く、冬は低温で雨が少ない気候です。夏には、熱帯低気圧がやってきます。
日本の東京、アメリカのニューヨーク、アルゼンチンのブエノスアイレスなどが、温暖湿潤気候となっています。
アジアやアメリカで、米、小麦、とうもろこし、大豆などの主要作物の栽培がされています。
Cfa、Cfb、Cfc は、いずれも一年を通して湿潤です。記号のf が湿潤の意味で、そのうしろにあるa ・b ・c の違いは、
- 最暖月が平均22℃以上が a
- 最暖月が平均22℃未満であると b またはc
の記号がf の後ろに付いて、Cfa、Cfb、Cfc となります。
通常は、温暖湿潤気候の Cfaと、西岸海洋性気候 Cfb・Cfc といった具合で、後者はひとまとめにして扱われることが多いです。
西岸海洋性気候 Cfb・Cfc
フランスの放牧風景。夏でもそこまで暑くなかったです。
西岸海洋性気候 Cfb・Cfcは、年間を通して、偏西風の影響を受け湿潤な気候で、同緯度の他地域と比べて、夏は冷涼で、冬は温暖な気候です。
1年を通して、安定的な気候であるのは、大西洋から吹く偏西風の影響です。海は陸と比べて温度変化が小さいのです。
降水も年間を通してあり、酪農や混合農業が盛んです。
ヨーロッパは西岸海洋性気候となる地域が多く、イギリスのロンドンや、フランスのパリ、オーストラリアのメルボルン、ニュージーランドのクライストチャーチ、チリの南部などが西岸海洋性気候です。
西岸海洋性気候は、
- Cfb
- Cfc
に分かれます。その判別方法は、
- 月の平均気温が10℃以上の月が4か月以上あると、Cfb
- 月の平均気温が10℃以上の月が4か月未満だと、Cfc
となります。
月の平均気温が10℃を越える月が4か月未満ということになれば、温かくなる月が1年を通してあまりないように見受けられますね。
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とても分かりやすい。