東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々の旧宗主国を一覧にまとめました。
宗主国とは、植民地にたいする本国の呼び名です。
植民地は、経済的・文化的に宗主国から影響を受けます。特定の作物を栽培して宗主国に供給したり、特定の資源採掘と輸出に依存するなど、モノカルチャー経済へ傾倒するなどの影響があります。
また、公用語が旧宗主国の言語と同じになったり、日常生活でも旧宗主国の言語がつかわれることが多いです。宗主国が植民地と貿易をするときに、コミュニケーションをとれるように教育をしたからです。
東南アジアの旧宗主国
かつては、イギリスの植民地が多く存在していました。東南アジアの大陸部分のベトナム・カンボジア・ラオスはフランス領が中心です。
旧宗主国 | 国 | 言語 |
---|---|---|
フランス領 | ベトナム | ベトナム語 |
カンボジア | カンボジア語 | |
ラオス | ラオス語 | |
イギリス領 | インド | ヒンディー語、英語。公認されている州の言語は多数あり。 |
バングラディシュ | ベンガル語 | |
ミャンマー ※英領インドに編入 | ミャンマー語 | |
香港(中国) | 中国語 | |
マレーシア | マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語。 | |
シンガポール | 国語はマレー語。公用語は英語、マレー語、中国語、タミール語。 | |
ブルネイ | 公用語はマレー語。英語は通じる | |
オランダ領 | インドネシア | インドネシア語 |
アメリカ領 ※元スペイン領 | フィリピン | 国語はフィリピノ語。公用語はフィリピノ語と英語 |
ポルトガル領 | 東ティモール | 国語はテトゥン語とポルトガル語。実用後はインドネシア語と英語。 |
マカオ(中国) | 中国語、ポルトガル語。 | |
植民地化されず独立を保った国 | タイ | タイ語 |
アフリカ国々と旧宗主国
植民地時代には、北アフリカから西アフリカにかけての広い範囲が、フランス領となっていました。
イギリスは、ギニア湾岸国や中東よりの国、東側の国を領有しており、スペイン、ポルトガル、イタリア、ベルギーなどがそれぞれ少数の国を領有していました。
旧宗主国 | 国 | 言語 |
---|---|---|
フランス領 | モロッコ | アラビア語(公用語)、ベルベル語(公用語)、フランス語 |
アルジェリア | アラビア語(国語・公用語)、ベルベル語(国語・公用語)、フランス語 | |
チュニジア | アラビア語(公用語)、フランス語 | |
モーリタニア | アラビア語(公用語、国語)、プラール語、ソニンケ語、ウォロフ語(いずれも国語)。フランス語は実務言語として使われている | |
セネガル | フランス語(公用語)、ウォロフ語などの各民族語 | |
マリ | フランス語(公用語)、バンバラ語等 | |
ブルキナファソ | フランス語(公用語)、モシ語、ディウラ語、グルマンチェ語 | |
コートジボワール | フランス語(公用語)、各民族語 | |
ニジェール | フランス語(公用語)、ハウサ等 | |
マダガスカル | マダガスカル語、フランス語(共に公用語) | |
イギリス領 | ガーナ | 英語(公用語)、各民族語 |
ナイジェリア | 英語(公用語)、ハウサ語、ヨルバ語等の各民族語 | |
エジプト | アラビア語、都市部では英語も通用 | |
スーダン | アラビア語(公用語)、英語も通用、その他の部族語多数あり | |
ケニア | スワヒリ語、英語 | |
ザンビア | 英語(公用語)、ベンバ語、ニャンジァ語、トンガ語 | |
スペイン領 | 西サハラ | アラビア語、スペイン語、フランス語 |
ポルトガル領 | アンゴラ | ポルトガル語(公用語)、ウンブンドゥ語等 |
モザンビーク | ポルトガル語 | |
ベルギー領 | コンゴ共和国 | フランス語(公用語)、キスワヒリ語、リンガラ語等 |
ドイツ領 | ナミビア | 英語(公用語)、アフリカーンス語、独語、その他部族語 |
イタリア領 | リビア | アラビア語 |
ソマリア | アラビア語(公用語)、ソマリ語 | |
ほんとど植民地化されず独立を保った国または早期に独立 | エチオピア | アムハラ語、オロモ語、英語等 |
南アフリカ連邦 | 英語、アフリカーンス語、バンツー諸語 | |
リベリア | 英語(公用語)、その他の各部族語 |
ラテンアメリカの旧宗主国
中央アメリカ、南アメリカもスペインの植民地であった国が多いです。ブラジルはポルトガルの植民地で、カリブ海諸国の一部、ガイアナ、スリナムなどは、その他のヨーロッパの国の植民地でした。
旧宗主国 | 国 | 公用語 |
---|---|---|
スペイン領 | メキシコ | スペイン語 |
グアテマラ | スペイン語、その他にマヤ系言語が多数あり | |
キューバ | スペイン語 | |
ドミニカ ※フランス領の時代もあり | スペイン語 | |
パナマ | スペイン語 | |
コロンビア | スペイン語 | |
ベネズエラ | スペイン語、先住民族の諸言語 | |
ペルー | スペイン語、その他にケチュア語、アイマラ語等 | |
ポルトガル領 | ブラジル | ポルトガル語 |
イギリス領 | ガイアナ | 英語(公用語)ガイアナ・クレオール語 |
ジャマイカ | 英語(公用語)、ジャマイカ・クレオール語 | |
フランス領 | ハイチ | フランス語、ハイチ・クレオール語 |
フランス領ギアナ | フランス語 | |
オランダ領 | スリナム ※イギリス領の時期もあり | オランダ語(公用語)、英語、スリナム語等 |
旧宗主国の違いによって変わる文化
私は、西アフリカのガーナから、ブルキナファソやマリを旅したことがあります。
ガーナでは、英語で「ハロー」と声をかけられていたのですが、ガーナから国境を越えて、ブルキナファソに入ったとたんに、フランス語の「ボンジュール」に変わりました。英語で多少なりとも聞き取とことができていた現地の人々の会話が、わからなくなってしまいました。
それから、ガーナではそれほど見られなかったのですが、ブルキナファソやマリに行くと、パンが多く見られるようになりました。
ガーナの旧宗主国はイギリスで、ブルキナファソの旧宗主国はフランスです。
国境をひとつ越えて国が変われば、言語などの文化がガラリと変わる。国境に、はっきりとした線が引かれていました。
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